日々のほとばしりから市井の美味そして旅のしおりまで
2011年4月15日 12時53分
3月11日、震災のあったその日は公演の初日でした。金沢21世紀美術館での新作パフォーマンス「SONAR」のプレス向け公演が終わり、インタビューに答えていたときです。
「地震、地震!照明が揺れてる!」
本番直前の夕方になり、なにやらすごいことになっているようだとスタッフの声。火のあがるコンビナートの写真をネットで観て、僕の認識の乖離からえも言われぬ不安が襲ってきました。Twitterをのぞいてみると、東京はパニック状態のよう。ほとんど被害の無いここ金沢でパフォーマンスなんかやっている場合だろうか。
その夜ホテルに帰り、テレビから流れるニュースをみていると気が滅入ってきました。これは良くない、明日も本番がある。ひとまず公演が終わるまでは観るのをよそう。情報を取り入れるのをやめよう。そう思って、テレビのスイッチを切りました。
3日間の公演を終えて、翌週に東京に帰ってからの1週間は、それまで抑制していた好奇心のたがが外れて、Ustreamで配信のNHKに釘付け。ほぼなにも手がつきませんでした。
そんな頃、スパイラルさんからチャリティーイベントへの出演の打診を受けました。なにができるのだろうか。グラインダーマンの作品を発表することじゃあない。じゃあ、なんなのだ。
アートのちからってなんなんでしょう。僕が机上で頭を捻っても、それを人前で踊っても、きれいな水が湧き出るわけではありません。恵みの雨がふってくる訳でもない。現社会では、表現(と呼ばれるもの)は間接的なものだとされています。ただし、「観る」「感じる」関係には、作り手と受け手の両者に明確な主体性が不可欠です。みんなが面白いといったから、僕も面白い、なんていう道理はない。それはとても閉じた直接的なやり取りですが、人の数ほどあるのだ。僕はそこにアートのちからがあると今は思います。
僕は構成と演出しかできません。大人数でおおらかな雰囲気の中でお客さんが参加してしまうようなものがしてみたい。そう思いついて、顔見知りのダンサーさんに連絡しました。ちょうどその頃、偶然電車でお会いした伊藤キムさんにも声をかけました。スパイラルさんのほうでも出演者を募集されたところ、合計25名ほどに。
パフォーマンスは15分程度を予定しています。おおらかな雰囲気の中で僕ら出演者と皆さんが出会い、瞬間を共有しておたがいの振舞いが重なりあっていく。そんな内容です。
出演:井草佑一、伊豆牧子、伊藤キム、井上大輔、エノモトユキ、川合杏奈、久保澄恵、小林由佳、小宮あけ未、佐々木由美、重松悠希、新宅一平、住吉甚一郎、辻田暁、手代木花野、平山学、水越朋、三橋俊平、宮崎あかね、吉川英里 (50音順)
演出:タグチヒトシ
出演:井草佑一、石原晶子、伊豆牧子、伊藤キム、エノモトユキ、大島志織、川合杏奈、菊沢将憲、久保澄恵、小林由佳、小宮あけ未、佐々木由美、重松悠希、新宅一平、住吉甚一郎、辻田暁、手代木花野、東山佳永、原田香織、平山学、藤井舞香、藤沢愛弓、水越朋、三橋俊平、矢嶋里美、吉川英里(50音順)
演出:タグチヒトシ
出演:井草佑一、石原晶子、伊豆牧子、伊藤キム、井上大輔、エノモトユキ、大島志織、川合杏奈、菊沢将憲、久保澄恵、小林由佳、佐々木由美、重松悠希、新宅一平、住吉甚一郎、辻田暁、手代木花野、原田香織、平山学、藤井舞香、藤沢愛弓、水越朋、三橋俊平、矢嶋里美、吉川英里(50音順)
演出:タグチヒトシ
こちらもおすすめ