演出や振付は、書道と似ている

最新のDance Brew 20「No stopping love」は脚の舞。とうとうテーブルから飛び出してしまった。

GRINDER-MANのYouTubeチャンネルメインコンテンツであるDance Brew(ダンス・ブリュー)は、身体表現の実験場である。いろいろな手法や酵母を取りこんで、撹拌してろ過して、映像としてパッケージした「いま」をアップロードしていく。ダンスの醸造(=Brew)と名付けた想いはそこにある。

実制作の過程では、動きの「理由」の考察を忘れないようにしている。これがなかなかむつかしい。振付には、何の気なしに作れてしまう危うさがあって、そうして出来上がるものは無味乾燥な動きの集合になる。動きの繰り返しで時間を埋めてしまっているものほど、つまらないものはない。

演出や振付は、書道と似ている。時間軸に動きを積み上げていく感覚と、半紙に墨を置いていく感覚。共通しているのは、まずそこに調和があるかどうか、そしてそれらが意味を形作っているかどうか。

振付でいえば、まず音への身体の呼応があり、そしてそれらが時間軸で意味を展開しているかどうか。

前者はダンステクニックの集積であり、鍛錬の賜物である。そして後者は、身体性というよりもむしろ想像力の発現である。身体の流れやスピードの抑揚ではなくて、意図を添えて動きを連結させているかどうか。書道で言うところの、半紙に置かれた墨が表す文字の「意味」が、動きの配置に見いだせるかどうか。作り手が頭をひねっているかどうか。

そこには、意味を動きへ変換する高度な抽象化が要る。思いつきでは出来ない。振付は言葉ではないからだ。これがほんとうにむつかしい。


No stopping love – Dance Brew 20

ちなみに「No stopping love」シリーズは本作で三作目。下記もあわせてご覧ください。


No stopping love – Dance Brew 15


No stopping love – Dance Brew 10

Dance Brewは、毎週火曜日13:00に配信しています。是非ともチャンネル登録をお願いします。
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