GRM blog : リンツ
日々のほとばしりから市井の美味そして旅のしおりまで
2014年8月17日19時46分
GRINDER-MANは、没入体験型パフォーマンス作品 MIRAGE を、2014年9月にオーストリアリンツ市にて開催されるメディアアートフェスティバル Ars Electronica Festival 2014 にて発表します。
2014年のArs Electronica Festivalは「C… what it takes to change」をテーマに、リンツ市街にて各プログラムが展開されます。GRINDER-MANは、リンツ市中央にある大聖堂 Mariendom(The New Cathedral) にて「MIRAGE」を発表します。大聖堂での「MIRAGE」の発表は、GRINDER-MANとしては相手にとって不足なし、会場空間を借景して作品作りに臨んできたこれまでのマインドが生かされる、やりがいのある発表になりそうです。
今年のArs Electronica Festivalには、日本から相当数の方々が足を運ばれるらしいとのこと。僕自身は、今年7月にアムステルダム在住の遠藤さん(LFTZUK)と一緒にフェスティバルの開催地であるリンツ市へ現地視察と打ち合わせで足を運んでいて、その道中での旅のティップスをまとめてMIRAGEチームに配布しようかと思っていました。どなたかのお役に立てましたらと思い、ここネットの海に沈めておきます。
なお、僕にとっては久しぶりのブログです。肩ならしでもあり、枝葉がつくのはご容赦ください。全3回です。
Ars Electronica Festivalは、オーストリアのリンツ市で毎年9月に開催される世界有数のメディアアートフェスティバルです。僕が初めてその名を知ったのは、グラインダーマン(まだカタカナの時代)前夜の1997年頃でした。
僕は、筑波大学の芸術専門学群は総合造形という学科に所属していました。端的に言うと、油画や日本画、彫刻といったファインアートと、視覚デザインやプロダクトデザイン、建築デザインといったクリエイティブ職の狭間にある学科で、自己表現の駆け込み寺みたいな場でした。なにをやっても許されるけどなにをやっても雲をつかんでいる場。自由と無力がトレードオフに漂っていて、青春を燃やすにはふさわしい処だった、とは美化しすぎか。
どこかに就職するつもりもなく大学を1997年3月に卒業して、自分の将来を定めあぐねつつ、のらりくらりと大学に入り浸っていました。そんな当時に総合造形の大学院にいた近森さん(近森基 氏)が「オーストリアのリンツで展示をしてくる!」といって向かった先がArs Electronicaでした。それを聞いた僕は、近森さんが向かう先のオーストリアでなにが行われているのかよりも、アーティストとして道を切り開いていく近森さんの背中に、僕自身を省みて焦燥の火がともったことを憶えています。
近森さんが展示した作品「KAGE」は好評を博し、Ars Electronica Festival が終了した後もそのまま展示は続くことになり、翌年1998年には「KAGE」は第一回文化庁メディア芸術祭を受賞。
そしてとうとう「KAGE」はどこかの美術館に収蔵されることになったんだよタグチ。勢いでこちらが吹き飛ばされそうになる話を、恵比寿駅降りてすぐのドトールの2階で、脂の乗り始めた近森さんからニコニコと一切合切聞いたのは忘れません。作品はそんな金額で売れるんだSUGEEE、そのミカミセーコさんってのはあの三上晴子さんのことかSUGEEE。
身近な存在が一躍羨望のアーティストとなったきっかけがArs Electronicaだったという刷り込みは深く、今回その場で「MIRAGE」を上演することは並ならぬ感慨深いものがあります。
ちなみに、近森さんのステップアップを身近に見てしまったことが作用してか、僕は美術館に作品が収蔵されるか、せめて美術館から請われて作品を展示をした経験が無い限りは、いずれも「自称アーティスト」だと思っています。
minim++, kage, 1997-1998
近森さんについてはこのインタビューが秀逸です。
童心に回帰したメディアアーティスト近森基(plaplax)の挑戦 – CINRA.NET インタビュー
Ars Electronica Festivalの開催地であるオーストリア、リンツ市に行くのには、2通りの行き方があります。成田空港からウィーン国際空港まで飛行機でむかい、そこから陸路でリンツ方面に行くルートと、成田空港からリンツ空港まで直接飛ぶルートです。
MIRAGEチームはウィーン空港まで飛び、そこからリンツまで陸路を行くルートを選びました。ウィーン着のほうが日本からの発着便の種類が多く、到着後すぐに具合に仕込みが始められそうだったからです。また、ウィーン国際空港着のほうがお財布に優しい便が多いこともあります。
しかしながら、ウィーン空港からリンツ駅までの移動が、少々やっかいなのです。ウィーン空港からバス、そして列車を乗り継いでリンツ駅、そしてホテルへ。所要時間は急ぎ足で約3時間、ここをいかにスマートにあしらうか、それがこの「たびのしおり」の主旨です。
ところで、今回のMIRAGEチームの航空券9名分は、すべてエクスペディアで購入しています。
国内で展開している格安航空券の比較サイトは多数ありますが、登録して実際にチケットの申し込みをしてみると「売り切れでした、ごめんなさい」ということが本当に多い。不動産屋のさそい水物件みたいなもので、ふたを開けてみると結局そんなに安くない。そしてその確認のやり取りだけで1〜2日はかかる。
こういった手配業務はさっさと終わらせたい僕としては、支払いまでの手続きすべてがオンラインで確実に終結するエクスペディアを選びました。エクスベディアの「最低価格保証」は伊達じゃない。体のいい金額表示ばかりが氾濫する昨今のオンライン界において、あんたのブラウザに表示したことにはワイは責任持ちまっせという商魂からの言葉なのだ。支払証明書がウェブ上ですぐ発行できることも、後々のこちらの手間を省いてくれてとても助かります。
ウィーン空港からリンツ駅までのバスおよび列車のチケットは、ÖBB(オーストラリア連邦鉄道)のウェブサイトから購入できます。現地で購入する手間の省略しかり、通常金額より半額以上になるチケットもあり、旅行日程が決まっているならばかなりお得です。ただし、払戻しや振替はできないので、かかる時間を予測して予約する必要があります。
下記は僕が計測してきた所要時間です。Google Mapsのルート検索はこれよりもゆったりしているので、Google Mapsをぴたり信用しても、ほぼ間違なく予定をなぞることができるでしょう。
Flughafen Wien(ウイーン空港)飛行機到着時刻から空港の出口まで 約35〜45分
Flughafen Wien(ウイーン空港)
↓
バス:Vienna Airport Line 40〜45分
↓
Wien Westbahnhof(ウイーン西駅) 乗り換え10分
↓
列車:ÖBB 1.5時間
↓
LINZ/DONAU(リンツ駅)
各行程の所要時間を、チケット購入の時間算出にお役立てください。上記は個人の移動時間なので、団体の場合は120%ほど増しになるかと思います。ざっくりいうと、飛行機を降りてからリンツの駅まではおおよそ3時間。ホテルまでは4時間くらいかかります。
●8ユーロ/バス:Vienna Airport Line
Flughafen Wien(ウイーン空港)からWien Westbahnhof(ウイーン西駅)まで
バスの支払いは現金のみ、クレジットカードが使えません。このためにわざわざ現金を用意する手間が惜しい。空港には両替場はありますが、為替レートはとんでもなく低いので全くもってお勧めしません。
●9〜14ユーロ/ 列車:ÖBB
Wien Westbahnhof(ウイーン西駅)からLINZ/DONAU(リンツ駅)まで
ウイーン西駅からリンツ駅までは、日本で言うところの特急電車にのります。普通に駅で購入すると34.7ユーロですが、ネットで事前購入しておくと、9〜14ユーロと半額以下になります。ただし安くなるのはおおよそ2週間前までの予約分のようです。
ÖBB(オーストラリア連邦鉄道)
空港からのバス、列車のチケットは、ÖBB(オーストラリア連邦鉄道)のウェブサイトから購入します。
画面右側のフォームから発着場所を入力。オートコレクトなので頭文字を入力すると候補がでてきます。日時入力もお忘れなく。Flughafen WienからWien Westbahnhof(U)まで、これはバスの場合。
列車の場合はこちら、Wien Westbahnhof(U)からLINZ/DONAUまで。「Book ticket」を押して次ページへ。
このページから始まります。復路も一緒に手続きができます。人数を記入して「Calculate Fare」を押して次ページへ。
バスの場合です。いろいろありますが、バスマーク、8EUR、行き先に「Wien Westbahnhof」の記載があるものを選びます。「2nd class 8EUR」をチェックして「confirm fare」を押して次ページへ。
Passenger Details(氏名)、メールアドレス、支払い方法、I acceptにチェックをいれて「Proceed to confirmation」、そして次ページで「check out」してすすみます。
最後にクレジットカード情報を入力して、オンラインでの購入手続きは終了します。バスと列車分を合わせて数回行うことになります。
クレジットカードでの支払いがおわると、先ほど入力したメールアドレスに onlineticket@is.oebb.at からメールが届いています。しかしこれはチケットではありません。「Print booking confirmation」から飛んだ先のウェブサイトでチケットPDFをダウンロード、それをプリントアウトして持っていきます。
PDFをプリントアウトしたものがこちら。これでバスと列車が一枚ずつ、片道分です。このチケットを車掌や運転手にみせることになります。
次回は、ウイーン空港からリンツ駅までの移動、バスと列車の乗り方についてお伝えします。
MIRAGE – Performance Art with Substitutional Reality system http://mirage.grinder-man.com/
Mirage – Ars Electronica 2014 http://www.aec.at/c/en/mirage/
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