GRM blog : 観る
日々のほとばしりから市井の美味そして旅のしおりまで
2016年11月19日19時25分
Radio City Music Hallで「CHRISTMAS SPECTACULAR」を観覧。見るものを是が非でもとりこもうとする技巧が素晴らしくて、これこそがアメリカなのだと唸ってる。
CHRISTMAS SPECTACULARとは、Radio City Music Hall専属のグループTHE RADIO CITY ROCKETTESによる、毎年末に上演される演目。1933年が初演のAmerica’s most beloved holiday family show(=アメリカで最愛のファミリーホリデーショー)ということで、時節柄の演目としては、日本でいうところの忠臣蔵に近い存在なのだと思う。ただし、叙情性はまったく逆。忠臣蔵は、お話の根底に人の業が横たわっているけど、こっちはあっけらかんとして気持ちのいいくらいのすかすか。
中身に古典さは全く感じられない。くるみ割り人形のストーリーをベースに、観賞用の3Dメガネ、プロジェクションマッピング、ドローン、花火、動物、映像と大道具のリンク、紗幕、浮遊、そして吹雪に特効と、ありとあらゆる物量が1時間半につぎ込まれている。
その割に不思議と装飾的に見えないのは、試行錯誤に裏打ちされた演出技術の賜物だからなのだろう。要素の畳み掛けと視点移動の妙で、とにかく時間が止まらない。だんだんとせわしなさが心地よくなってくる。これがショーなのだ。
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