GRM blog : Pilobolus
日々のほとばしりから市井の美味そして旅のしおりまで
2016年11月20日8時34分
チケットアプリTodayTixがとてもいい。NYCで公演中の作品がひと目でわかる操作性と、目に留まったそのタイミングでその日の夜のチケットを買うことのできるスピード感。カードで決済して、あとは劇場に行くだけ。チケットは、劇場入り口付近に立っている赤いジャンパーのスタッフから受け取る。席にこだわりがなければ、高い割引率も魅力。おすすめです。
昨日朝に、起きてすぐのザッピングで肉体あふれるビジュアルに惹かれてチケットを買ってみたのが、NYU Skirballでの「Pilobolus」。前情報まったくなし。
「Pilobolus」とは、ダンスカンパニーの名前だった。公演内容は4つの演目で約2時間。パンツ一丁のダンサー男女6人がみしみしと踊るメイン2つの間に、箸休めのマイムが2つ挟まってた。
マイムはどちらも15分くらい。とてもきっちり作ってあって、言葉がない故にやってくるマイム独特の哀愁があふれてる。このクオリティからするとPilobolusはマイムグループで十分なのに、彼らはダンスグループだ。
お昼のランチで出てくるちらし寿司にでんぶが入っていると、夜には太巻きがメニューにあってもちろんでんぶが入っているだろうと思うのが人の常。しかしながら、Pilobolusは違った。メインのダンスピースでは、お昼のランチからは想像できない、とても不思議な身体が動いていた。子供にも食べられる甘い味付けの大将がやっている鮨屋だと思っていたら、夜は熟成された白身のにぎりをしっとりと出すお店だった。
New York University’s Skirball Center for the Performing Arts
僕にとっては初めてみる類のダンスだった。ジャズよりもモダンに近くて、かといってコンテンポラリーではない。ダンサー同士が交わるも、コンタクトというよりもアクロバティック。筋力で重力をどうにかする様は、雪道を豪勢にバウンドしながら進むピックアップトラックのよう。力と勢いで存在を現す。
演者の意識は素晴らしくて、迷いなく動作を外向きに繰り出すあり方が、日々の鍛錬を想像させる。粘度高く鍛えられた身体のまさぐりあいが頼もしいから、観ているこちらの身体も同じように動きたくなってムズムズしてくる。とはいえ、ずっと気になってしまったのは、この人達はなぜこんな真剣に踊っているのか、ということだった。その身体、その眼でこちらに訴えかけようとしているのは、なんなのでしょうか。
最後はポーズで終わって拍手、そして落ちる緞帳。叙情性なし。あっけにとられた僕をよそに鳴り止まない拍手にあわせて幕があがると、舞台袖から出演者がパンツ一丁で次々と床を滑り出てくる。床には石鹸を溶いたような液体がぶちまけてあって、とても滑りがいい。本番終わりのやりきった顔も相まって、つるつるととても楽しそうなんだけど、なんで床を滑るのですか?
おおよそ理由なんてないんだ。僕ら観客もつられて楽しい気持ちになるから、それはそれでいいんだ。
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