日々のほとばしりから市井の美味そして旅のしおりまで
2009年12月3日 21時25分
先日の神戸ビエンナーレ「MUSTANG KB」が終わり1週間強、落ち着いた今の所懐です。
このビエンナーレは、お花から榎忠さん、企業のプレゼンらしき作品から現代美術系オブジェまでと、アートと名の付いた有象無象が大集合。われわれは野外。付近では大道芸もやっている。
観客の状況を考察すると、美術館や劇場で集中して作品に対峙する姿勢にあらず。「わかる人だけわかれば良い」なんてハイ・ロー言ってられない。これはサバイバル、ここで俺は生き残るのだ。
『あれまあ、これが芸術というモノなのかしら?』 その出会いこそが俺の喜び、とあえて盲目的に挑みました。
神戸ビエンナーレでの公演参加が決定したのが9月上旬、準備期間は2ヶ月ばかし。コンセプトである“群と個”を形にするのに多くの出演者が欲しいため、いつもは会場にてワークショップを開催して出演者を募集しています。
ですが、今回は東京からのメンバーのみ。
ワークショップを開催するタイミングや予算がないという問題以上に、ワークショップ後に彼ら参加者のスキルを見極めて、ここまでやろうかといった内容の試行錯誤に時間がとれないというのがその理由でした。
その試行錯誤を経て、期待やあきらめを通過した決断を下します。MUSTANGシリーズを制作する際には忍耐と開放が要る。作品の内容及び質に深くに影響する部分であり、今回はどこまでなにを持ち上げられるかが僕にとってのサイトスペシフィック、発表を続けるモチベーションです。
本作「MUSTANG KB」は本懐を「グラインダーマン360°」と称した“演者と観客の心身距離”としました。
このビエンナーレこその多様な観客をどう巻き込んでいくのか、どう巻き込むと「嫌な気分」にならないか。どなたかの言葉を借りますと、「amuseやfunじゃなくて、interestにする」。
演者個人の肉体がバチバチ動き、その衝動に汚染された集団が真剣に何処かへ向かおうとする様には、何にもに勝る強さがある。それがMUSTANGの骨頂で、巻き込まれた結果として観客の心身にその感触を残したい。
そのための丁寧さと粗暴さの振幅を狙い、僕はいつも以上に道化となってお客さんに「観るルール」を伝える役割に徹しました。はじまりの「勝手に来場記念撮影会」しかり、時にはご自身で動いてくださいよといった問いかけや、踊るためのスペース作りとかも含め。
出演メンバーは幾回も出演経験を持つ猛者ぞろいでしたので、観客との呼吸を計りつつ終幕へ持っていく空気感の創造は巧みでした。
これが終演後の挨拶ワンショット。上記「勝手に来場記念撮影会」の5枚から、約20分後。演者を取り囲む観客、これこそが「グラインダーマン360°」だったのか、と素直に手前味噌たっぷり思ってしまった。
新しい「MUSTANG」シリーズポートフォリオ2009年11月版を作成いたしました。うれしいことに現在方々より来年度への問合わせがあり、いろいろと画策中です。
もしかすると真新しい新作パフォーマンス公演のお披露目があるやいなや。平行して新しいMUSTANGシリーズも発表する予定。次回は室内でのMUSTANG公演かも。