脳科学とパフォーマンス表現の、解剖台での偶然の出会いは

10月15日(土)に、六本木ミッドタウンのデザインハブで行われる「ナレッジガーデンvol.3 『ソーシャルブレインズ』 – 関係性の中の脳機能」に登壇します。理化学研究所で「社会脳」を研究されている藤井直敬先生の胸をお借りして、われわれの脳はどう社会という見えない糸を認識しているかをテーマに、レクチャーやクロストークに臨みます。

僕は、これまでの作品の解説や表現のテーマをお話するとともに、パフォーマンスの習作を発表する予定です。「脳について」とは、とどのつまりわれわれ自身の身体の仕組みの事ですから、百聞は一見にしかず、言葉の集積で「わかる」よりも、まずは実際に体感していただきたい。そして、それを言葉で補強する機会になればと思います。また、参加者の皆さんと身体を動かして体感するようなことも差し込もうかなと考えています。

先日、理化学研究所にある藤井直敬先生の研究室にお邪魔してきました。そこで、VRシステムに似た(といってもVRを体験したことは無いのですが)双方向インターフェースを体験。まさに、インセプションされてきました。僕はこれまで感じたことのない類いの恐怖に震撼したのですが、その話もできればいいですね。

なお、藤井先生のご活動を深く知るには、著書『つながる脳』をお薦めします。脳を主題とした書籍にありがちな身体讃歌やレトリックたっぷりの感覚論とは一線を画す、研究者として現実性のある立場からの「身体と心の哲学」を掘り下げた良書です。特に、最後の第6章はグッときます。

ミシンとこうもり傘の解剖台での偶然の出会いのように美しい。シュルリアリストが、彼らの活動である超現実主義を表すのに使った言葉です。脳科学とパフォーマンス表現という、一見無関係とも見える分野の結び付き。僕は、無意識的な「やむをえず」や「しかるべき」といった観客の心象反応をとりいれて、それらを時間軸に繋げていく語り口が、拙作の妙と考えています。そんなGRINDER-MANの表現の実体に、脳科学の見地から藤井先生のご意見を伺うのが、個人的にはとても楽しみです。

ご来場おまちしています。

ナレッジ・ガーデン vol.3「『ソーシャルブレインズ』 – 関係性の中での脳機能」

講師:藤井直敬(理化学研究所脳科学総合研究センター)+タグチヒトシ(パフォーマンスグループ「GRINDER-MAN」代表)

「ソーシャルブレインズ」は、「社会脳」と訳される、いま注目のキーワード。ひとは、他者との関係や社会の中でコミュニケーションを取りながら、さまざまなネットワークを形成しています。「ソーシャルブレインズ」とは、そうした外界に適応し社会を築いていく「脳」の機能 のことを指します。 藤井直敬氏は、脳の各部位が特定の機能を司るとする従来の「マッピング」手法とは異なる、複合的に働く脳の機能についての研究を進めていらっしゃいます。一方、観客を巻き込み、次第に観客自身も作品の一部へ取り込まれていくステージを作り上げる GRINDER-MAN。彼らの公演では、参加者全員が「社会脳」機能を大いに使っているのかもしれません。その巧みな構成/演出を手掛けるタグチヒトシ氏。 今回は藤井氏のレクチャー、両氏の対談だけでなく、GRINDER-MAN による「パフォーマンス」も体験いただきます! さまざまな社会との関わり方、コミュニケーションのあり方が問われる中、脳科学研究の視点から、そして実践による体験の双方から「ソーシャル」というテーマにアプローチしてみます。

ナレッジ・ガーデン vol.3「『ソーシャルブレインズ』 – 関係性の中での脳機能」

2011年10月15日(土)13:30 開場 14:00~16:30
会場:インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター
東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー5F 東京ミッドタウン・デザインハブ内
参加費:2,000円(ドリンク付)
定員:70名
パフォーマンス出演者:伊豆牧子、住吉甚一郎、吉川英里、三橋俊平、梨本威温、菊沢将憲、大島志織、原田香織
※先着順にて受付。定員に達し次第、締切りとさせていただきます。
※参加費は当日会場にて申し受けます。領収書発行可。
お問合せ:エピファニーワークス
主催:エピファニーワークス
共催:公益財団法人日本デザイン振興会