散策編 – Ars Electronica 2014リンツへ その3

ここ最近、タグチさんは実際になにをやっているのと聞かれます。名刺に演出家と刷って数年経ちますが、僕ははじめから演出家になりたかったのではない。数年前に、生きてきた自分のそれまでを振返ってみて、これは「演出家」と名乗るのが適当ではないのか、そう決心して今があります。

演出とは、時間を司ります。形のない「時間」を形あるものとして仕上げる。くっきりと認識できるように示す。誰も止められない「時間」という条件において、どれだけ引き延ばしたり縮めたりするか。どのように始まって終わりがやってくるか。絵画や彫刻ほど表現に自律性はなく、製品やサービスほど再現性もない。受け手である誰かの想像に針を打ち、縫っていく過程自体が「演出」だと思っています。

現場は、複数の人々の関わりによって作り上げられます。役割も違えば立場も違う。それゆえに、さまざまな意思が飛び交います。演出家は受け手への作用を形にする裁量がある一方で、あんた大丈夫かよ?といった不安をぶつけられる役割でもある。

自分だけの想像にとどまらず、隣人の想像をたくましくする言葉と背中をもっていること、それが演出技術なのだと思ってます。安易な言いっぱなしはそこには要らない。その鍵穴がすっとまわるようなアイデアと手元のリソースを天秤にかけて、可能性の道しるべを見つけてお腹にためておく。

僕自身は、デコラティブな包容力よりも「これがいいんだ」って言い切ってしまうタイプです。ただ、そこにいたるまでは、僕の場合はともかく紙におこす。書類を作りながら考えます。僕の主戦場である舞台表現は、その場その時という生きた時間を含んでいるから、なにかあったときのすぐさまの判断がぶれないように、兎にも角にも考え抜いておきます。

それをさっさと解決すべき問題にしてしまうこと、解決のために執着しないこと。事前に思い詰めておくと、その時がやってきても情にしがみつくことなくあっさりと捨てられます。

さて、準備編 – Ars Electronica 2014 その1移動編 – Ars Electronica 2014 その2から続いて、今回はリンツ市街をぶらつくためのティップスです。リンツ駅からトラムに乗って、MIRAGEの上演場所であるMariendomeおよびArs Electronica centerまでの行き方もあります。

リンツ市内を移動するには、主にバスかトラムを使います。バスはかなり細かく市内を駆け巡っているようです。リンツの中心街自体はそんなに大きくなく、Google Maps片手で歩けてしまう広さ感です。市街地を移動するには、目的地近くの駅までトラムでむかい、そこから徒歩で移動するのが良いでしょう。

たびのしおり その3 – 散策編

3-1.リンツ駅でのトラムへの乗り換え、約10分

リンツ駅には改札がありません。ÖBB(オーストリア連邦鉄道)を下車、ホームの階段を下ってそのまま駅の構内に出ます。駅構内へ出た目の前にSPARがあります。小腹が空いていたら、ここで簡単な食べ物を購入するのもありです。
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トラムの乗り場へ行くには、駅構内の階段やエスカレーターで地上まで上がらず、ÖBBを下車した階層(地下一階)をそのまま奥にすすみます。トラムの乗り場はさらに地下にあります。MacDonaldsの入り口手前左にある、トラムの乗り場に行くための地下への階段もしくはエスカーレターをすすみます。
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straßenbahnはトラムという意味です。リンツ駅のトラムの駅名はHauptbahnhofと言います。Linzの文字が入っていないので、初めてリンツ駅に降りた時とても混乱しました。
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リンツ市街中心地やArs Electronica centerを目指すにあたり、乗車するトラムの行き先は「universität」「Landgutstraße」です。「Auwiesen」「solarCity」「Doblerholz」は反対方向です。

MacDonaldsの手前を降りて地下のトラム乗り場に降りたら、そこは市街地とは逆方面のプラットフォームです。反対側のプラットフォームへ移動してください。近くの階段で一度上にあがってもう一度下がる必要があります。構造的には、自由が丘での大井町線の乗換えに近いと思います。

ちなみにリンツ駅からバスに乗る場合は、お隣のビルにあるバスターミナルまで歩きます(徒歩5分ほど)。リンツ駅をグラウンドレベル(1階)まであがり、出口を出て右側に歩いていくと建物の1Fにあります。閑散としていますが、確かにそこからバスが出ます。

3-2.トラムのチケットの買い方

リンツ市街を走っているトラムとバスは、Linz AGが運営しています。チケットはトラムとバスの共通で使えます。

トラムに乗る

  1. トラムに乗る際には、乗車前にチケットを購入します。
  2. トラムへ乗車下車時の際にはチケット確認のやりとりがありません。時折、トラム車内を回覧する添乗員が居るみたいですが、僕は遭遇しませんでした。タダ乗りもできますが、アジア人自体がリンツの街では珍しいので確認対象になるかと思います。購入しておいたほうが無難です。

バスに乗る

  1. 目的のバスに乗り、運転手へ行き先を伝えて金額を教えてもらい、乗車口で支払います。僕はGoogle Maps片手に「ここにいきたいんだけど」と伝えました。

券売機

街のところどころにあるオレンジ色のいかつい券売機でチケットを購入します。「2001年宇宙の旅」に出てきそうなコンソール。写真のこれはリンツ駅のもの。01

券売機の画面

チケットには3つの種類があります。
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  • maxi 4€ ー 24時間乗り放題
  • midi 2€ ー 1回の乗車につきどこまで乗ってもOK
  • mini 1€ ー 1回の乗車で4駅まで

画面をタッチしてチケットの種類を選択、お金を入れたらチケットが出てきます。確認画面はありません、あっさりとしています。クレジットカードでの購入が一番便利です。クレジットカードでの購入の場合は、クレジットカードをテンキーボタン上のスロットに差し込んで、暗証番号を入力するとチケットが出てきます。

3-3.MariendomeおよびArs Electronica centerまで

リンツ市街には1番、2番、3番という3本のトラムが走っています。リンツ駅(Hauptbahnhof)からMariendomeおよびArs Electronica centerへ行くには、universitätもしくはLandgutstraße行きであればどの番号を乗っても到着します。

○mariendomeにいく mini(1€)を購入
auptbarnhof(リンツのトラム駅)から 3つめMozartkreuzung駅で下車。そこからmariendomeまで徒歩8分。

○Ars Electronica centerにいく midi(2€)を購入
Hauptbarnhof(リンツのトラム駅)から5つめHauptplatz駅で下車。そこからArs Electronica centerまで徒歩約6分くらい、ドナウ川を越えて歩きます。

4.リンツ市を走るトラムとバスのルートマップ

地図中央を縦に走る赤い3本のラインがトラムの路線図です。リンツ市内のトラム+バス全てのルートマップPDFはこちらから。
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関連リンク

MIRAGE – Performance Art with Substitutional Reality system http://mirage.grinder-man.com/
Mirage – Ars Electronica 2014 http://www.aec.at/c/en/mirage/

タグチヒトシ
演出家。パフォーマンスグループ GRINDER-MAN代表。リアルタイムなライフログはFacebookにて。YouTubeにてダンス映像 Dance Brew を配信中。