
「ナレッジガーデンvol.3 『ソーシャルブレインズ』 – 関係性の中の脳機能」終わりました。僕自身、総じてとても楽しく、学びが多い時間でした。ご来場の皆さまありがとうございました。ワークショップはいかがでしたでしょうか。
「社会性について」と題された藤井先生のレクチャーから始まった流れが、計らずもその後に控えていたパフォーマンス、ワークショップへと繋がって、独特の熱気ただよう時間だったように思います。
僕は作品をつくるときに、演者に「頭を開く」「ルールの共有」「第三の眼を」と投げかけます。そんな演者の居方こそが、観客の「興味の視線」を引き込んでいくと考えているのですが、言葉足らずでなかなか巧くつたえきれず、やきもきすることがしばしばあります。藤井先生が言及された「社会と脳の関係性」に、そのやきもきをすっきりさせられる糸口を見つられたかもやで、僕の脳には感嘆符が踊りっぱなしでした。
トーク中に藤井先生から紹介がありましたSRシステムで、なにか作りたいと考えています。パフォーマンスになるのか、映像になるのか、いずれにせよ体験系になるでしょう。これから練っていきたいと思います。今後にご期待ください。


藤井先生のお話のなかで「社会に適合するために自ら抑制しているわれわれ」という意のくだりがありました。ここ数日その言葉が頭からはなれず、僕らが適合させている社会って何だろう、と考えていました。
お酒を飲みたいなと思ったら、どこかに足を運びます。ご飯食べながら誰かと居酒屋で、のんべんだらりとしたい日はコンビニで買って家で飲む。思いつくのは外で飲むか家で飲むかの二通りで、どちらもお金を払ってお酒を買うわけで。
でも、お酒って自分で作ることもできる。それも案外手軽に。ただし、現在の日本ではお酒を自分で造るのは禁止されています。最近は「ビールを家でつくろうキット」が発売されていたりして、民意からの緩和がすすんでいるようだけど、基本的に酒造は免許制で、酒税法という法律によって自由にお酒を製造し、販売することは許されていない。
日本古来の醸造酒に「どぶろく」があります。お米を発酵させて作るお酒で、明治時代に酒税法が施行されるまでは、稲作を営む各家庭で作られていました。現在では、ときどき酒屋で見かけたり、どぶろく祭りやどぶろく特区で飲むことができますが、身近だろうかと問われると、それはどうだろう。
自分で食べるものは作る、だけどお酒は買うものだ、だって法律がそうだから。それじゃあなにか腑に落ちない。自分が口から取り入れるものを自分でこさえるのは、生物の根源的な営みであって、だれかの許可を請う必要はないでしょう。くわえて、自分でこさえたものを食べる歓びは何にもまして替えられないですよね。
お酒は、ヒトの心に作用して薬にも毒にもなりえる食物だから、誰かに製造を任せて品質の管理を託するのが「いい」。何にとって「いい」のか。ここに「社会」が出てくる。
僕にしてみれば、お酒は作れるものだと知るまでは、どこかで飲むか買って飲むか、その2つ以外の可能性を考えられなかった。この世に産み落ちる前から存在する、慣習やルールによって形成された世界にわれわれは生きていて、無意識的にその流れにのっかっている。それが「社会」であり、僕らは誰かの抑制を受け継いで生きているのです。
思うに、受け継がれてきた慣習やルールには、2つの種類があります。
ひとつは、われわれ人間の身体のつくり、感じ方、言葉を獲得する以前から持っている生物としての性質を表した習性の知。もうひとつは、社会を形成するため、持続させていくために必要な決まり事。誰かの恣意が時間とともに大きく膨らんでそうなってしまったものしかり。
右手と左手はどうやら使い勝手が違うらしい。使いやすい方を利き手と呼ぼう、それはどうやら右手が大多数らしい。ここまでが、前者。じゃあ文字は右手で書くように決めよう。右手にあわせたはさみを作ろう。カメラのシャッターボタンは右側にして、自動改札は右側にタッチすることにしよう。これらは後者。
僕の興味が引き寄せられるのは、その「前者」と「後者」の境界で、そこに芸術と呼ばれる表現が存在するんだと考えています。
情報掲載ページ
- CBCNET EVENT » ナレッジ・ガーデン 「脳科学」と「身体パフォーマンス」の視点から「ソーシャル」について考える、GRINDER-MANによるパフォーマンスも
- ナレッジ・ガーデンvol.3「 ソーシャルブレインズ – 関係性の中での脳機能」 – HITSPAPER™ : SOCIAL
- REALTOKYO | イベント情報 | ソーシャルブレインズ- 関係性の中での脳機能
- 『ソーシャルブレインズ』を解き明かすレクチャー&パフォーマンス – DESIGN NEWS
関連リンク
脳科学とパフォーマンス表現の、解剖台での偶然の出会いは
2011年9月5日
10月15日(土)に、六本木ミッドタウンのデザインハブで行われる「ナレッジガーデンvol.3 『ソーシャルブレインズ』 – 関係性の中の脳機能」に登壇します。理化学研究所で「社会脳」を研究されている藤井直敬先生の胸をお借りして、われわれの脳はどう社会という見えない糸を認識しているかをテーマに、レクチャーやクロストークに臨みます。
僕は、これまでの作品の解説や表現のテーマをお話するとともに、パフォーマンスの習作を発表する予定です。「脳について」とは、とどのつまりわれわれ自身の身体の仕組みの事ですから、百聞は一見にしかず、言葉の集積で「わかる」よりも、まずは実際に観て感じて欲しい。そして、それを言葉で考える機会になればと思います。また、参加者の皆さんと身体を動かして体感するようなことも差し込もうかなと考えています。
先日、理化学研究所にある藤井直敬先生の研究室にお邪魔してきました。そこで、VRシステムに似た(といってもVRを体験したことは無いのですが)双方向インターフェースを体験、まさに「インセプション」されてきました。僕はこれまで感じたことのない類いの恐怖に震撼したのですが、その話もできればいいですね。
なお、藤井先生のご活動を深く知るには、著書『つながる脳』のご一読がお薦めです。脳を主題とした書籍にありがちな身体讃歌やレトリックたっぷりの感覚論とは一線を画す、研究者として現実性のある立場からの「身体と心の哲学」を掘り下げた良書です。特に、最後の第6章はグッときます。
理化学研究所 藤井直敬チーム(適応知性)→
僕の大好きなTEDでも講演されています「藤井直敬博士|TED×Tokyo」→
「つながる脳」藤井直敬 著 →
「ミシンとこうもり傘の解剖台での偶然の出会いのように美しい」ーシュルリアリストが、彼らの活動である超現実主義を表すのに使った言葉です。脳科学とパフォーマンス表現という、一見無関係とも見える分野の結び付き。僕は、無意識的な「やむをえず」や「しかるべき」といった観客の心象反応をとりいれて、それらを時間軸に繋げていく語り口が、拙作の妙と考えています。そんなグラインダーマン特有の表現の実体に、脳科学の見地から藤井先生のご意見を伺うのが、個人的にはとても楽しみです。
ご来場おまちしています。
ナレッジ・ガーデン vol.3「『ソーシャルブレインズ』 – 関係性の中での脳機能」
講師:藤井直敬(理化学研究所脳科学総合研究センター)+タグチヒトシ(アートパフォーマンスグループ「GRINDER-MAN」代表)「ソーシャルブレインズ」は、「社会脳」と訳される、いま注目のキーワード。ひとは、他者との関係や社会の中でコミュニケーションを取りながら、さまざまなネットワークを形成しています。「ソーシャルブレインズ」とは、そうした外界に適応し社会を築いていく「脳」の機能 のことを指します。 藤井直敬氏は、脳の各部位が特定の機能を司るとする従来の「マッピング」手法とは異なる、複合的に働く脳の機能についての研究を進めていらっしゃいます。一方、観客を巻き込み、次第に観客自身も作品の一部へ取り込まれていくステージを作り上げる GRINDER-MAN。彼らの公演では、参加者全員が「社会脳」機能を大いに使っているのかもしれません。その巧みな構成/演出を手掛けるタグチヒトシ氏。 今回は藤井氏のレクチャー、両氏の対談だけでなく、GRINDER-MAN による「パフォーマンス」も体験いただきます! さまざまな社会との関わり方、コミュニケーションのあり方が問われる中、脳科学研究の視点から、そして実践による体験の双方から「ソーシャル」というテーマにアプローチしてみます。
ナレッジ・ガーデン vol.3「『ソーシャルブレインズ』 – 関係性の中での脳機能」
2011年10月15日(土)13:30 開場 14:00~16:30会場:インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター
東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー5F 東京ミッドタウン・デザインハブ内
参加費:2,000円(ドリンク付)
定員:70名
パフォーマンス出演者:伊豆牧子、住吉甚一郎、吉川英里、三橋俊平、梨本威温、菊沢将憲、大島志織、原田香織
お申込み方法[メール&FAX]
お名前(複数の場合は代表者)、所属先、連絡先電話番号、参加ご希望人数、メールアドレスを明記の上、エピファニーワークスまでお送り下さい。メールアドレス:
FAX:03-3448-0745
※先着順にて受付。定員に達し次第、締切りとさせていただきます。
※参加費は当日会場にて申し受けます。領収書発行可。
お問合せ:エピファニーワークス TEL.03-3448-0745
主催:エピファニーワークス
共催:公益財団法人日本デザイン振興会
Knowledge Garden ナレッジ・ガーデン
- 新しいライフスタイルや社会作りのための知恵を学び、体験し、実践する場を目指して -人類学、科学、デザイン、建築、アート、音楽、農業…多様な分野の最前線から現代を生き抜く知恵を集め、皆さんと共有したいと思います。 緑豊かな庭園や桧町公園が眺望できる六本木ミッドタウン・デザインハブ内のリエゾンセンターを拠点に、レクチャーやサロン、ワークショップなどを開催していきます。